Gururiの日記

かつてはてなダイアリーで付けていたGururiの日記

「無断引用」という言葉

面白い意見を目にした(引用文中の強調はid:Gururiによるもの。以下同じ)。なお、俺は法律の専門家でもなんでもないので、以下に書いたことに存在する間違いはどんどんコメント欄なりTBで突っ込んでいただけるとありがたい。正当なツッコミであれば適宜訂正していく所存である。

無断引用をマナー違反だと思っているわけではない。
だが、無断引用をする「正当な権利」があるとまではいえないのではないかと思っている。
書籍の引用に関しては著作権法で定められている。

http://yondance.blog25.fc2.com/blog-entry-1526.html

Yonda?さんはどうやら書籍の紹介をされている方のようだから、書籍について語りたくなる気持ちはわからないでもないが、ちょっと検索すれば条文を確認出来る著作権法も確認せず、書籍からの引用だけが「特別であり」「歴史があり」「一般的な共通了解があり」「お金を払って書籍を入手しており」「コピペ出来なくて骨が折れて自分も労力をかけて」いる。だからうちの無断引用はいいんだ、という論調である。でもさ、言っていい?引用ってマナーの問題じゃなくて法律の問題でしょ?
著作権法三十二条によれば

第三十二条  公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

e-GovSearch

とあり、引用をするのに著作物の権利者に引用に際して許可を取らねばならぬ、とはどこにも書かれていない。「引用は無断で行うもんだ。『無断引用』なんて言葉自体が変」なのである。引用を行うに際し要求されている要件は

  1. 公正な慣行に合致すること
  2. 引用の目的上正当な範囲内で行なわれること

という2点である。労力をかけて書き写しただとか、書籍だからとか、歴史があるからとか、そんなものは要求されていないし、定義もされていない。対象も書籍だけではなく「著作物」と一般化されており、そこにメディアによる区別は、無い。「公正な慣行」って何よ?という向きもあるだろうが、まずは出所の明示でしょうか。ウェブだとURIという仕組みがあるから出所明示は楽でいいですね。あとは基本的には「判例に倣う」ということになるんだろう。判例が無ければ、自分の著作物が引用された時にそれが「公正な慣行」に従っていないと思うのであれば裁判に訴えて判例を作ればいいんじゃなかろうか。
俺も引用をする事が「正当な権利」だとまでは言わないが、著作物に関する権利を定めた法律で「公表された著作物は引用して利用することができる」と定めている以上、条件さえ満たしてさえいれば「引用して利用すること」に問題は無いだろう、と考えている。また、営利目的であっても著作物を引用し利用することはできるだろう。なぜならば、著作権法が要求する引用の要件は上記2点だけだから。
だからYonda?さんの主張するところの

なにがいいたいのかというと、サイトやブログからの引用はあまりにも楽ちんである。
ほとんどコストを必要とせずに引用することができる。

http://yondance.blog25.fc2.com/blog-entry-1526.html

という主張は正当とは言い難い。書籍からの引用もOCRを使えばかなり楽に出来る。使うか使わないかは引用する人次第であり、一字一字手で打ち込むのが正しい姿だと信じるのは構わないが、それを他人に押し付けたりましてや打ち込み以外を否定するのはやめた方がいい。そのうち「手書きしないとは何事か」と自分が叱られることになるだけである。

営利というのも気に食わない。
カリスマブロガーいしたにまさきはブログからの引用を繰り返すことで金儲けをしている。
いろんなひとが苦労して書いたブログの文章を狡猾に利用して金銭を得ているわけだ。

http://yondance.blog25.fc2.com/blog-entry-1526.html

営利目的で引用をしてはいけないのであれば、あらゆる「引用をおこなった著作物」で利益を得ることは違法ということになります。で、実際そうなってるかと言えばそうではないのはご承知の通り。まぁ本音は

・ブログの無断引用で収益をあげているカリスマブロガーいしたにまさきがうらやましい(笑)。

http://yondance.blog25.fc2.com/blog-entry-1526.html

というだけの事なのだろう。引用されるのが嫌なら公開しなければいいだけなのにね。
あ、そうそう、blogの記事が著作物にあたるか、という話もしておかないとね。

第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(略)
七の二  公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。
(略)
九の四  自動公衆送信 公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)をいう。

e-GovSearch

ウェブサーバに置かれたblogの記事は「公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの」だと思われるので、著作物であり、引用を行うことができると思うんですが、どうでしょうか。たぶんこれでいいと思うんだけど。