Gururiの日記

かつてはてなダイアリーで付けていたGururiの日記

水素発生装置の電気自動車

お昼にTVのニュースで紹介されてた奴→(cache) NHK宮城のニュース

自動車に取りつけられたタンクにアルミの廃材と、この会社が開発した特殊な溶液を入れると化学反応を起こして水素が発生します。この水素を燃料として燃料電池が発電し、車が走る仕組みです。

(cache) NHK宮城のニュース

とあるが、映像を見る限りではアルミをアルカリで溶かして水素を発生させているだけなので、この溶液中の水酸化物イオンが無くなった時点……というか強アルカリ下でないと水酸化アルミニウムが溶けないので、ある程度溶けてしまうと反応が止まると思うのだが、何kgのアルミでどの程度走れるのだろうか。
以下考察。

6 OH- + 2 Al + 6 H2O → 6 OH- + 2 Al(OH)3 + 3 H2

水素発生の反応

2モルのアルミで3モルの水素が発生するわけか。モル数で1.5倍。1kgのアルミを全部溶かしたとする。アルミの密度は2700kg/m3だから、1kgのアルミの体積は3.7×10-4m3。アルミのモル体積が0.01m3/molだから、1kgのアルミは3.7×10-4m3/10.00 × 10−3 m3・mol−1=3.7×10-2mol=0.037mol*1。水素はこの1.5倍のモル数発生するんだから0.056mol。水素は2g/molか。これで大体0.1gの水素なわけか。水素の燃焼エネルギーが143kJ/gだから大体14kJのエネルギーを取り出せる。まぁ効率をまるっと無視してるので実際はこんなに使えないけどな。で、これでどんだけ走れるの?(おい)詳しい人へるぷ。あと検算お願いします>誰か
ちなみに、水酸化アルミニウムがほとんど水に溶けない為、強アルカリ下でないと以下の反応が起こらず、表面の水酸化アルミニウム皮膜が反応の邪魔をしてしまう。つまりあんまり薄いアルカリじゃ駄目。強アルカリ積んで公道を走るのは怖いんですけど……。

OH- + Al(OH)3 + 2 H2O → [Al(OH)4(H2O)2]-

アルミン酸形成

2モルのアルミを溶かすのに6モルの水酸化物イオンが必要で、2モルの水酸化アルミニウムが発生する。2モルの水酸化アルミニウムをアルミン酸にするのにもう2モルの水酸化物イオンが必要。てことは2モルのアルミニウムを溶かすのに8モルいるのか。反応が終わるまで強アルカリでいて貰わないといかんことを考えると相当pH高いんじゃないか?「この会社が開発した特殊な溶液」とかいいつつ単なる水酸化ナトリウム溶液だったら笑う。
ニュース原稿を聞くと、アルミ廃材を投入すれば無尽蔵に水素を発生させる装置的な扱いで、それはさすがにどうなのよ、と。一応タンクを交換すれば水素が発生し続ける、と謳っているので、この溶液を交換しなきゃならんのは隠していない模様。NHKの取り上げ方が変なのか。この会社は「水素ステーションなんか作らなくてもうちの装置使えばいいよ」ってことなんだろうけど、強アルカリの溶液が事故で漏れたら大惨事だと思うんだけどそのあたりはどう考えているのか知りたいところ。ニュース映像では見栄えの為か透明な円筒形の容器に溶液とアルミを突っ込んでいたが、大丈夫なのかアレ。
ちなみにエコプロダクツ東北2008(10/9〜10/11)に出展しているそうなので、誰か見て来てくれ(えー)。

*1:HTMLで上付き・下付き書くの飽きたー。